PETクリニック事務長のトホホblog

山梨PET画像診断クリニックの白石です。 ・PETについて・当クリニックの活動について・日々雑感(これが一番多い)気ままに発信しています。 ★ホームページリニューアルに伴い、ブログも引っ越しました★ 過去ログも覗いてみたいという稀有な人は、お問い合わせください。

2021年04月

クリニック建屋の屋上は日当たりもよく、富士山や八ヶ岳も一望できるくらい見晴らしもいい。まるで森林にでもいるかのような穏やかな空気感がそこにはあるのだ。過去にはスタッフがここでバーベキュー大会をやろうと計画したこともあるくらい心地いい場所なのである。ここには検査機器とか空調設備の室外機が点在していて、それに伴う配管などが張り巡らされている。また機械室内にはガンマ線ガスモニタ、HEPAフィルター、給気加湿装置など放射線管理には欠かすことのできない大規模な設備が配置されているのである。ボクはそれら設備装置の大半は理解しているつもりだが、いまだに何の役割か分からない機器もないわけではないのだ。
つい先日、小春日和のとても暖かい日であった。ボクは昼寝(!)でもしようと思い屋上へ上ったところ、配管の下に水たまりができていることに気が付いたのである。
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【配管から水漏れ】

久しく雨も降っていないのにおかしいなと首を傾げながら周囲を見渡すと、なんと配管の継ぎ目からポタポタと水が垂れていることを発見してしまったのだ。これは何が起きているのだろう。その配管には「補給水管」と印字されているものの、何の補給水かが分からない。事務室に戻って竣工図に当たってみようかと考えたが、もしかしたら一刻を争う事態かもしれぬ。ボクはその場に這いつくばって配管を辿ってみたのである。するとそれがサイクロトロンの室外機に達しているのが分かったのだ。サイクロトロンに水が供給されないと照射に不具合を来すのだろうか。でもまてよ、確かサイクロトロンの冷却水は循環式だったはずだ。補給する必要はないはずだけれどな。などと一人でブツブツ言いながら、水位計をのぞき込んでみたのだが、その水位が適量なのか否か判断できないのである。これでは昼寝どころではない。急いで設備業者に連絡を入れると、すぐには来られないので2〜3日待ってくれという。そんな悠長に構えていいのだろうか。
幸福はある日突然目の前に拓けるが、不幸は知らないうちに始まっているものだ。
すでにサイクロトロンの故障がカウントダウンされているような気がしてきたのである。そこでボクは意を決して、水漏れ箇所を特定すべく配管のカバーを裂いてみた。配管は凍結防止のため断熱材とヒーターで巻かれていて完全防備だ。
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【断熱材で包まれた配管】

ボクは外科医のように配管に傷をつけないように断熱材を丁寧にはがしていったのである。およそ30分後ついにその時はきた。管と管のジョイント部分にクラック(ひび割れ)を見つけたのである。じわじわと溢れる漏水を確認できるジャマイカ。間違いない。これだ。ボクはその画像を設備業者へ送って交換工事を依頼し、本日無事に修理完了となったのである。
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【クラック発見】

これで明日からゆっくりと昼寝ができるとほくそ笑んでいたのだが、予報では天気は明日から下り坂ということらしい。春の木漏れ日の元で安心して昼寝ができるのは、もう少し先になりそうである。トホホ。

先週の土曜日(17日)、メーカーから招待されていた「ITEM2021(国際医用画像総合展)」に参加するため、ひとり横浜まで行って来たのである。すでにこの時点で横浜市は20日から「まん防」の指定区域となることが決まっていたのだが、みなとみらいエリアはすごい人で溢れかえっていて大変な賑わいであった。ボクも久々の横浜なので寄りたい場所がたくさんあった。でも高揚する気持ちをグッと抑えて会場であるパシフィコ横浜へ歩を進めたのである。
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【パシフィコ横浜】

この日ボクのお目当ては島津製作所さんのブースだ。クリニックにあるマンモPET(商品名はエルマンモ Elmammo)の後継機がいよいよ満を持してリリースされるということで、それを見学することが一番の目的なのである。事前に資料には目を通していたが、いざ実機を間近に見るとこれが意外とデカいではないか。そうかマンモPETは主に女性を被験者として想定しているのに対して、新型は男性も検査の対象だ。それもあってサイズアップしたのだろうと勝手に得心したのである。色も従来のピンクからモノトーン調へと変更されてシックな感じに仕上がっているのだ。さすがに男性たるもの、ピンクのベッドに横になるのは気恥ずかしいのではとの配慮なのであろうか。これにも得心。でなぜ今度は男性も受診できるのか。それがミソだ。実は新型マンモPET(商品名はブレストーム BresTome)は、なんと乳房だけではなく頭部の検査も可能なのである。乳房を入れる寝台のホールが可動式となったため、そのホール(検出器の筒)を寝台と平行になるよう90度起こして上昇させる。すると頭部がすっぽり納まり、脳のPET画像診断ができる装置に早変わりということなのだ。
ボクたちは脳のPET検査と聞いて黙っているわけにはいかない。旧PETセンターでは約1,000例の脳FDG-PETを経験済みで、脳PETに関しては並々ならぬ思い入れがあるのである。「マンモ」と「脳」のオールインワンPETなんて当クリニックの診療スタイルに最もフィットするモダリティだ。さすが島津製作所、ノーベル賞カンパニーだけのことはある。痒い所に手が届くグッドな提案である。ボクは余勢を駆ってすぐに見積りを取り寄せたのだが、その金額をみて愕然としてしまったのである。予想をはるかに上回るエクスペンシブさだ。現状では手が出ないが、脳PETが保険収載されさえすればアリだとは思う。来年4月の診療報酬改定を首を長くして待つことにしよう。
さて韮崎-横浜間の往復に約5時間を要し、横浜滞在はたったの45分間。コロナ禍とはいえ、今回ボクはせっかく行ったのに大好きな中華街の豚まんを食わず、一度は行ってみたいカップヌードルミュージアムにも寄らず、定番の「ありあけのハーバー」も買いそびれてしまったのである。トホホ。

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【マンモPETの後継機】

先週クリニックのスタッフ数名で、来年の「PETサマーセミナー2022in甲府」を開催するにあたって、初めて実務的な打合せと施設見学を行った。会場となる甲府記念日ホテルはその前身である甲府富士屋ホテルのころから忘年会などでよく利用している勝手知ったる場所だ。いざ会場に行ってみるとイメージが膨らんできて、遅ればせながらいよいよスタートと実感したところである。昨年の日本臨床脳神経外科学会のときは、3年以上前から準備委員会を立ち上げて意気揚々と臨んだのだが、今回は随分と人数も少なく地味な初陣であった。サマーセミナーは大会の骨格がだいたい決まっていて、毎年それを踏襲しているため、すでにイベンターが過去の蓄積したノウハウでプログラムの枠組みを作成済なのだ。ただし最も肝心なことはこのコロナ禍にあって、大会をどのように開催するのか。今回のキモはここにある。1年後に世の中がどうなっているのか読めない状況下で、あらゆる可能性を排除せず、周到に準備を進めなければならないとボクは襟を正したところである。具体的には、従来通りの現地オンサイト開催(プランA)ができるのか、現地開催とオンラインのハイブリッド形式(プランB)とするのか、あるいは完全オンラインのみ(プランC)での開催を余儀なくされるのか。それぞれを想定しながら、会場の規模や運営などを検討したのである。
結果おおまかにプラン別の仕様と部屋割りのアテができたので、今後は各業者からの見積りを待つことになる。だが見積りといっても先行き不透明な現時点では、例えば懇親会をやるのか否かで金額は大きく変わるし、ハイブリッド開催の場合はオンライン会場を何サイト運営するかでも費用は変動する。どのへんで折り合いを付けてゆくのか。今後ボクの担当業務は「お金まわり」に収斂されていくのであろう。ボクはフェアトレードを信条としている身である。この局面では値切ったり叩いたりという荒業は、どちらかというと、あまりやりたくないパートなのだ。そして開催形式はどうなるか分からないのだが、PET関連で働く方々にとって有意義で実りの多いサマーセミナーとして、成功裏に終会することを願って止まないのである。どうぞご期待あれ。
本件については、また追々報告させていただくこととする。
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【見学の様子】

今年も本院(甲府脳神経外科病院)には8名の新人が入職した。毎年4月1日から約2週間に亘って新人研修が施され、その期間中に半日だけ当PETクリニックに見学に来ていただくのが慣例となっているのだ。今年はたまたま本日(4月1日)研修初日に来院予定が組まれており、午前中に入職したてホヤホヤのホープ達が緊張した面持ちでやってきたのである。新人さんからしてみれば、「いきなりPETかよ」とさぞお嘆きであろう。緊張と戸惑いの表情が見て取れたので、ここは袖振り合うも多生の縁だ。ボクからはクリニックの概要を説明させていただき、看護師と診療放射線技師から検査の手順や実際の機器を紹介させていただいたのである。ボクは講師を務めるとき、みんなそうだろうけど反応の良さそうな人をターゲットにして話すようにしている。だいたいそういう人は中央に席取ることが多いので、自然と全体が見渡せてリズム良く進行できるからである。ところが今年の新人さん達はちょっと大人しいのか、みんな俯いていて表情がカチンコチンではないか。これはいけないと思い、軽くオヤジギャグを披露したところ見事にスベッてしまったのである。これはつらい。やってはダメなやつだ。このことが後を引き、メンタルの弱いボクの話はグダグダになってしまったのである。トホホ。

しかし後続の看護師と技師が抜群のフォローをしてくれたお陰で、雰囲気が和み始めてきた。時間の経過とともに新人さん達の強張っていた顔が笑顔に変わってきたのである。ボクは最後に起死回生のオヤジギャグで失地回復を狙っていたのだが、それは叶わぬまま新人さん達は帰院していったのであった。
医療界のこの先10年。いちばんの課題は働き手不足である。人口減少と少子高齢化の進展によって医療や介護のニーズは増加するものの、それを支える働き手が足りなくなるのだ。若い新人さん達には一日も早く医療の担い手として活躍されることを切に期待するのである。オジサンはもう仕事はおろか、オヤジギャグさえも冴えなくなっているのだから。新人さん、いらっしゃーい! オヨヨ。
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【マンモPETの説明をする女性技師】

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