PETクリニック事務長のトホホblog

山梨PET画像診断クリニックの白石です。 ・PETについて・当クリニックの活動について・日々雑感(これが一番多い)気ままに発信しています。 ★ホームページリニューアルに伴い、ブログも引っ越しました★ 過去ログも覗いてみたいという稀有な人は、お問い合わせください。

先日、飲み友のアラサー看護師(県内の某中核病院勤務)2人と約3年ぶりの密会を楽しんできた。
場所は贔屓にしている居酒屋で、日本酒を舐め舐めしながら旬の魚と野菜をたらふくいただいてきたのである。いまでは居酒屋もすっかりコロナ禍モードになっていて、入店時のマスク着用、検温や手指消毒、席間のアクリル板はあたりまえ。店員さんはフェイスシールドにディスポの手袋をつけていて、胸のネームプレートには名前のほかにその日の体温とワクチン接種歴、さらにはPCR検査の陰性証明までが付されていたのである。なんという気の遣いようだ。ボクたち医療従事者もコレやった方がいいのではないか、と職業柄ついつい思ってしまった。何事につけ、押しも押されもせぬ人気店からは学ぶことが多いものである。
飲み始めるとアラサー看護師たちはいつものように職場での不満やプライベートの不遇を、ボクに哀訴してきたのである(ボクに言われても困るのだが)。仕事が忙しい、上司がダメ、同僚がちょっと、身勝手なご家族がいてね。いつになっても彼氏ができない、出会いがぜんぜんない、痩せたい、いま「ウマ娘」にハマってる等々、だいたいは平均的なOLあるあるだ。
でも彼女たちの真骨頂は、ああでもないこうでもないと嘆きながらもこうした日々の悶々としたストレスを、痛快なほど笑い話に昇華させるという離れ業ができてしまうところにある。これができる人とそうでない人の差は大きい。千里の径庭ほど大きいのである。ネガティブマターは笑い飛ばすのが一番。ボクはこれを経験的に知っているし、だからこそ彼女たちからの誘いにはホイホイとついていくのである。
なんやかんやで時間が過ぎてもアラサーたちはまだしゃべり足りない様子であった。しかしコロナ禍ルールで居酒屋での滞在時間は3時間までと決まっているらしく、ボクたちは店員さんに促されて後ろ髪を引かれながら終宴としたのであった。
アラサーAは代行車で帰るといい、ボクとアラサーBは電車に乗るため駅に向かって歩き始めた。その道すがらアラサーBから相談を受ける。なかなかシビアな話であった。
本人の努力だけでは解決できないトラブルに、ボクが加わったところでシューティングできるほどの特別な力をボクは持ち合わせていない。ボクは非力なのである。
他者からの批判に耐えられないのは、今の自分に自信がないからである。他者からの批判を自分自身どこかで同意してしまうからこそ、耐えられないのだと思う。彼女にとっては、ちょっと笑い飛ばせないような難敵と対峙しなければならない状況のようだ。
ボクなら、そういう時は一度立ち止まって一休みする。好きな本を読み返したり、映画を観てぼんやりする。そしてしばらくして、そろそろいいかなと感じたらまた歩き始める。そんなに心配しなくていい。ボクは酔った頭で彼女にそんな不得要領な話をしたような気がするのである。
 
・心配事の96%は実際には起こらない
・3割の人とは合わない
・どんな人でも2割からは嫌われる
・考えた結果は5秒でも30分でも86%が同じになる
・1日6分の読書で68%のストレスは軽減する
これらの数字にはちゃんとエビデンスがある(米国ミシガン州立大学の研究)。覚えておくと少しは役に立つことがあるかもしれない。
 
電車に乗って帰宅したら0時を大きく回っていた。午前様ではないか。シャワーを浴びて話題のヤクルト1000を一気に飲んだら、とたんに睡魔が襲ってきたのだ。明日の朝起きられるか心配しながら布団に入ると、秒で爆睡してしまったのである。
翌朝、目が覚めるといつもより1時間も遅い時間であった。慌てて飛び起きて冷たい水で顔を洗いながらボクは考えた。心配事の4%は実際に起きてしまったのである。トホホ。
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【奇跡の麦「きたのほし」を使った限定ビール、これは旨い! やっぱりビールはサッポロ推しだ】

本日はこの4月に入職してきた新人さん5名が、クリニックに施設見学にいらした。いままでは「新人さん、いらっしゃい!」と意気込んで、毎年ボクがパワポを使ってPETクリニックの概要説明や館内の案内をさせていただいてきたのである。今年はそろそろ若手にタッチ交代したくて2月に赴任してきた放射線科長のO君に打診したところ、快く大役を引き受けてくれたので、ようやくボクはお役御免となれたのだ。本家本元とおなじ、司会者の変更である。でも最初にちょっとだけご挨拶をさせていただいた。新人さんたちには決まった特徴があることを、ボクは長年の経験から知っている。そしてこの特徴を見るのが、ボクはとても好きなのである。その特徴というのは、新人さんたちはみんな表情が硬い、極めて硬い。頬がつって眉間にしわが寄っている人もいる。これは恐らく緊張しているためであろう。あるいは本院から30分もかけてクリニックまで連れてこられたあげく、3K(顔が悪い、声が悪い、滑舌が悪い)オジサンの拙い話を聞かされる不愉快さもあるのかも知れぬ。とにかく表情が硬いのだ。しかし、しかしだ。話が進むうちに彼ら彼女らの瞳孔は全開となり、目がキラキラと輝いてくるのである。お分かりいただけるであろうか。まるで入学式に臨む小学生のような面持ちだ。硬い表情と輝く瞳の同時併用というのは、故意にやろうとしてできるものではない。ボクは緊張と好奇心とが同居した新人さんを拝顔しながら、頑張ってくださいという心境になる。本院にキャリアパスがあるのかどうかは知らないが、今年も新人さんたちが仕事を通してスキルアップしながら自己実現できるようホント願っているのである。

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【キリッとうまい!北海道限定クラシックビール やっぱりビールはサッポロ推しだ】

ここ数年は決まった床屋さんに通っている。久々に居心地のいいリラックスできる床屋を見つけたのである。元々は知人から息子さんが理容師になってその店に就職したので、行ってやってくれと頼まれたのがきっかけであった。ところが息子さんは下仕事の多さと長時間の拘束に耐えられないと、わずか半年足らずで店を辞めてしまったのだ。ボクは一度も彼に散髪されることなく、今生の別れとなってしまったのである。
それでもボクはその店に通い続けている。いつも予約して行くと、たぶん店の方針なのだろうが、複数いる理容師さんのうち2人の理容師が交互に担当してくれるのだ。その店は系列店があって時々異動で人が入れ替わるのだが、その若き2人の理容師はずっと変わらずボクの髪を切り続けてくれているのである。先日行ったときは、前回がAさんだったので今回はBさんかなと思いながら入店すると、今回もAさんがボクを案内してくれた。2回続けて同じ理容師さんに当たるのは初めてだ。見渡すとBさんも店内にいて他の客の髪を切りながら、ボクに「いらっしゃいませ!」と声を掛けてくれた。あれ、おかしいな、ボクの勘違いかなと思いながらも、その時はあまり気に掛けないで着席しAさんと他愛もない話を始めたのであった。
散髪が終了して会計を済ませると、いつものようにAさんは店の外まで見送りに出てきてくれた。ボクは見送られるのが照れくさくて「じゃ、また!」と言って歩き始める。そのときAさんが「白石さん、6年間ありがとうございました」と言ってペコリと頭を下げたのである。彼は今月いっぱいで退社すると、それだけを言い残して相好を崩した。そうか、そういうことだったのか。彼は以前、いつか自分の店を持ちたいと夢を語ってくれたことがあった。でもその時にお店のお客さんを連れて行くのは、自分を育ててくれた会社に対して不義理だとも言っていたのを思い出したのである。氷解した。多くを語らないAさん、かっこいいと思った。
清々しい別れである。
ボクはいつかきっとこの青年のお店を探し出して、シレっと訪ねてみようと誓ったのであった。ただし、それまでボクの髪が持てばの話なのだが。トホホ。
 
その日ボクはある用事で韮崎駅にいた。少し早く着いてしまったので暖房の効いた待合室で時間つぶししていたら、ボクの相向かいのベンチに母娘と思われる2人の女性が座っていたのだ。娘は淡いピンクのコートに身を包み、さっきから一心不乱にスマホを操作している。ハーフアップしたヘアスタイルは韮崎の商店街では決して見かけない、まるでキャバ嬢のようだ。対して母親は白髪交じりの髪を垂らして、何度も腕時計に目を遣っては落ち着かない様子であった。じきに電車の到着するアナウンスが流れると、ボクと母娘はほぼ同時に立ち上がったのである。ボクが引き戸を開けて二人に先に出るよう促すと、娘はボクの前を素通りして行き、母親はボクに「すみません」と小声で言って待合室を出た。改札の手前で母親は娘に何か話しかけたけど、娘は反応せずにスマホを自動改札機にタッチして構内に入っていったのである。母親は娘の背中が小さくなるまでずっと見ていたが、娘は一度も振り返らずにコンコースへと消えていってしまった。
事情は全く分からない。でも、ものすごく嫌な別れを目撃してしまい、ボクはなんだか居た堪れなくなってしまったのである。
 
別れはいつだって「出ていく者」よりも「そこに残る者」の方が何十倍も寂しいものである。ただしそのことに気付くのは大人になってからなのだ。ボクはあの母親の立ちすくむ姿を見て、娘さんがいつか母親の気持ちに思いを馳せてくれたらいいなと願ったのであった。
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【春にピッタリのサクラビール やっぱりビールはサッポロ推しだ】

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